森村泰昌氏作・フェルメール研究・大きな物語は小さな部屋の片隅に現れる・軸装バージョンについて
 便利堂のコロタイプは、美術品の複製に生かされている伝統的印刷技術ですが、今回、現代作家の芸術作品制作のための技法として生かしていただく機会に恵まれました。
 森村泰昌氏作 《フェルメール研究;軸装バージョン》 は、便利堂のコロタイプ技術を使った初めてのオリジナル作品です。

フェルメール研究・大きな物語は小さな部屋の片隅に現れる・軸装バージョン
再び、絵に
 森村泰昌氏が、17世紀の画家フェルメールの最高傑作《画家のアトリエ》(別名「絵画芸術」)をモチーフに、名画シリーズの一つとして新たに制作されたのが《フェルメール研究;大きな物語は小さな部屋の片隅に現れる》です。
この作品は1m四方の大きなカラープリント作品ですが、さらにそれを発展させ、手刷りコロタイプにより絹本に表現し表装された 《フェルメール研究;軸装バージョン》 が森村氏によって構想されました。

 デッサンが苦手だったがゆえに「上手に絵を描く」表現方法として写真を選んだという森村氏ですが、今回の試みで目指したものは、絵を描くように撮られた写真を、反対に「絵に戻す」ことでした。
 「フェルメールは写真家になりたかった画家だと思います。逆に、私は絵画を写真に置き換えて創作してきました。今度は私の写真を再び絵に戻すことで、フェルメールへと結びつく円環のようなものがつくれるのではないでしょうか。」
 こうした森村氏の意欲的なリクエストで、コロタイプの技法を生かした作品づくりがスタートしたのです。
 森村氏は本紙の素材に絹本を選ばれました。西洋の絵画はキャンバス(麻)に描かれていますが、今回の体裁は床の間に飾る掛け軸なので、その雰囲気に合う日本の素材が「絹」だったからです。

 こうして森村氏の写真作品はコロタイプ技法によって絵画に変換されました。

 軸装は京表具師/村山秀紀氏によるもので、150年前のインドネシアの更紗で仕上げられており、東洋と西洋の美が融合した素晴らしい作品になっています。
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森村泰昌氏について
1951年生まれ。大阪在住。
緻密で膨大なエネルギーを注ぎ、セルフポートレイトの作品を作り続け、国内外で幅広く活躍する美術家。
三宅一生とのコラボレーションや舞台や映画への出演など活動領域を広げている。
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コロタイプとは…
一般的な印刷方法であるオフセット印刷では色や濃淡を小さな網点の密度で表現しますが、コロタイプでは連続階調で表現するため、写真のようにより本物に近い緻密なディテールで表現することができます。
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フェルメール研究がコロタイプにより写真から絵に生まれかわる。
 便利堂では、作品の複製技術としてではなく、芸術作品制作のためにコロタイプの技法を使うのは初めての事であったので、その旨を森村氏にお伝えすると、

「私のやることの95%は、未経験の部分です。今までやったことのないことをするのが面白いんです。」

その言葉を聞いて、便利堂でも前例のないオリジナル美術品制作にチャレンジしました。
写真でも絵でもない独特の質感を備えた、美しい作品に仕上げることができたと自負しています。
便利堂コロタイプの工房見学中の森村氏
↑便利堂コロタイプ工房見学中の森村氏
この《フェルメール研究;軸装バージョン》の少部数エディション《フェルメール研究;オリジナルエディション》が頒布されます
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