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コロタイプ印刷

文化遺産を守り伝える複製の技術

 コロタイプは、約150年前フランスで生まれた印刷技術です。美しいガラスの板を原板に使用することから、日本では玻璃版などとも呼ばれていました。製版、印刷とともに大変手間ひまのかかる技術で、現在の効率化時代には逆行すると言ってもよいでしょう。
 しかしながらコロタイプ印刷には、時を越えた素晴らしい表現が可能です。連続階調によるなめらかで深みのある質感、また和紙や特殊なコロタイプインキによる強い耐久性等、表現力と科学性を共に持っており、他の印刷技術の追随を許さぬ独自のものです。
 しかし残念ながら、このフランス生まれのコロタイプ印刷では、単色(モノクロ)表現が限界でした。試行錯誤の歳月をかけて、当社では単色の限界を、多色刷(カラーコロタイプ)へと広げる開発研究に成功しました。この新技術修得によって、微妙な色彩変化や筆力の忠実な表現を必要とする、文化財の再現に大きく貢献してきたのです。

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■ 多色コロタイプの特徴

  1. 網点が無く連続階調によって表現されるため、色彩の微妙なニュアンスや筆線の繊細さが原本同様に再現される。
  2. 耐久性が極めて高いインキは、他の版式に比して格段に固くそれだけ顔料比率が高く堅牢であり、永久保存には最も適している。
  3. 原寸大で撮影されたネガを、直接オリジナル原板とするため原本の持つ正確な データを再現することができる。
  4. 平面であればほとんどの物に適合し、特漉の堅牢な和紙や・布・板等に印刷適性を持つ。

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■ コロタイプ複製の歩み

 当社の約1世紀にわたるコロタイプ複製の歴史の中で、最も特記されるのは、戦前の法隆寺金堂壁画の原寸大複製の仕事です。不幸にして壁画は焼損してしまいましたが、その再現にあたって当社のコロタイプ複製が生かされたのです。画伯たちは原寸大複製の上に直に筆を運ばれて、現在の再現壁画をみごとに完成されたのです。
 また戦後、わたしたちは独自にカラーコロタイプの技術開発に成功しました。その初仕事が大英博物館所蔵の女史箴図巻複製でした。イギリスに渡った中国の名宝を広く世界の人に見ていただくため、私たちの技術が役立ちました。その後、さまざまな技術改良が施されてきましたが、そのうえにたって、国立歴史民俗博物館の正倉院文書全巻(約800巻)複製事業(継続中)、横浜市の三渓園臨春閣・月華殿(重文)障壁画(約120面)複製事業などに携わってまいりました。正倉院文書複製は、展示と研究のためにお役に立っておりますし、三渓園の襖絵は、傷みの激しくなった原本保存のために、代替品としてはめ込まれています。

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■ 展示資料として

 わたしたちの先人が残してくれた貴重な文化遺産は、全国各地の博物館・美術館を中心に鑑賞できますが、文化財の保存と公開という相反するテーマの共存を計っています。そこで「原本にかわるもの」としての複製の必要性から、全国の関連機関よりご依頼を頂き高い評価を得ており、展示・研究の資として役立てられております。わたしたちは「文化財を後世に伝える」役割を今後とも担っていく責任を強く感じています。
 国立歴史民俗博物館「正倉院文書」全800巻、藤沢市教育委員会「一遍聖絵」全12巻、横浜市「三渓園障壁画」120面等、長期にわたる事業の他、出光美術館「伴大納言絵詞」、神戸市立博物館・福島県立博物館「泰西王侯騎馬図屏風」、江戸東京博物館「江戸一目図屏風」、長野県立歴史館「市河文書」等・・・。

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■ 記念品・販売品として

 国宝や重要文化財など貴重な文化遺産は、そう簡単に鑑賞できるわけではありません。それらを身近な生活空間に置くことができるのが、複製商品の嬉しいところと言えます。当社では自社商品としても多くの製品をご用意しておりますが、御遠忌や落慶等の記念品に、企業等の贈答品や引き出物に、オリジナル製品のご依頼を賜っています。また美術館・博物館のミュージアムショップを飾る販売商品として、出版社で企画される豪華な出版物として、多彩な品作りにご利用いただけます。ご予算に応じた企画の立案から独自な製品作りの全てを、商品部のスタッフがコーディネートいたします。お気軽にご相談いただければ幸いです。

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■ 複製をつくりだす技

 コロタイプ複製を作り上げるためには、気の遠くなるような作業工程を通っていきます。撮影には、原寸撮影ができる特殊な大型カメラを使用します(最大で700×540ミリまで可能)。
 撮影は、色の3原色(黄赤青)と墨の4色に分けて行います。コロタイプでは、こうして撮影したネガをそのまま原板として使用します。しかし、撮影したネガフィルムがそのまま使えるわけではありません。コロタイプの多色刷りというわたしたち独自の技法では、木版画やリトグラフと同じように、必要な色の数だけ版を作ります。たとえば、絵巻などの場合には、墨、紙地色の他、青系では薄藍・濃藍・群青・緑青・白緑、赤系でも、紅・薄紅・セピア・赤、黄系でもからし色・レモンイエローといったふうに必要な色をすべてとりだします。これらの版は、すべて原寸で撮影したネガの部分部分です。こうしてとりだした版をそれぞれの色のインキで印刷していくわけです。この各色版に分け調子を整える作業は、熟練した技術者が経験によってほとんど手作業で行います。そのため、かなりの日数を要します。できあがった版で、まず校正刷りをし、原本と照合、不十分な点を補正し、本番の印刷にかけます。
 複製される原本の素材はいろいろです。和紙をとっても古代の文書は麻紙や雁皮紙(斐紙)、中世の文書は楮紙、奉書紙、檀紙などさまざまです。わたしたちは素材にもこだわります。越前や近江の紙漉きの伝承者たちに、オーダーメイドで発注して、再現します。木簡も檜なら檜、杉なら杉と素材から複製します。
 刷りあがった印刷物は、必要に応じて補彩を施します。これにあたるのは、模写を専門とする日本画家たちです。最後の仕上げが仕立て。京の都で千二百余年にわたってつちかわれてきた京表具や京扇子の伝統技術者たちが、原本の表装そのままに仕立てます。


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<コロタイプ技術の保存と印刷文化を考える会>発足のお知らせ