写真家として活躍される小川康博さんにインタビューを行いました。
コロタイプアカデミーに何度もお越しになり、制作されていたたくさんのプリントの行き先は以下に…!?
真剣な眼差しと、パワフルに刷りあげられていく作業のスピードは圧巻でした。
小川さんのHPはこちら >ogawayasuhiro.com/
Q1:写真家として、コロタイプを作品に用いてみようと考えられたきっかけは何でしたか?
海外のフォトフェスティバルで友人と展示を予定していて、以前知人の写真家さんの作品を見て惹かれていたコロタイププリントをギャラリーで展示販売しようと思ったのがそもそものきっかけでした。フェスティバル自体はコロナの影響で中止になってしまったのですが、展示する予定の作品を集めた写真集(『The Dreaming』、蒼穹舎刊)とポストカードサイズのコロタイププリントをセットにして英国のオンライン書店で売り始めたところ大当たり。欧州の写真好きのひとたちってコロタイプのような手作り感満載のプリントが大好きなんですよね。プリントの度重なる注文に応ずるベく何度も便利堂さんのアトリエに通った昨年(2020年)でした。
Q2:実際にコロタイプで制作をしてみて、作品との適合性はいかがでしたか?
コントラストの高めな作品がコロタイプには合う、と当初は思っていましたが、今振り返ってみれば一概にそうとも言えないようです。作ってみないとわからない、というのが正直な答えです。思ってもみなかった絶妙な風合いがコロタイププリントにすることによって立ち現れるという経験を多々しているので、気になるネガ(データ)を片っ端からコロタイププリントにしてみるといいのではないでしょうか。費用がかさんでしまうのが難点ですが。
Q3:コロタイププリントを作る作業は、ほとんど初めて体験するような内容だったと思いますが、何度もやってみたいと感じる一番の魅力は何でしたか?
経験を重ねるごとに上手くなるのがわかるからーそれに尽きると思います。経験を積むごとに、版は生き物であり、その版をどう手懐けるかーグリセリンで栄養補給させてあげたり余計なインクを取り除くために空擦りをしたりーによってプリントの良し悪しが決まってくるということがわかってきます。あと、工房内に満ちるインクの匂いは私にとってとても魅力的でした。あの匂いをまた肺の奥まで吸いこみたい!
Q4:デジタル技術を用いた表現の幅が広がる中で、写真のプリント方法の原点を知るような取り組みでもあったかと思いますが、これから体験する方へ特にお勧めしたいと感じる点はありますか?
自分の作品に心底付き合う、という経験は暗室で紙焼きを熱心にされている方以外はあまりないと思います。同じ作品を何回も何回も擦っていると(一作品につきだいたい三十枚くらいプリントしました)、今まで気づかなかった自分の作品のクセが否応なしに見えてきて、それは確かに得難い経験であるような。自分の作品に正面から向き合うということを是とする方にはいい経験になると思います。
Q5:制作されたコロタイププリントは、その後どのように使用されていますか?
ほぼすべて売り尽くしました!
これだけは言っておきたいなということがあればお願いします:
いくつかのコースがありますが、もし費用と時間が許すのであれば五日間コースがオススメです。理由は、版が生き物であることを体得するにはやはりそれなりの日にちが必要だと経験上思うからです。せっかくの京都でのワークショップですが、コロタイプ製作にハマればハマるほど寺社仏閣(を観光すること)なんてもうどうでもよくなります。楽しんでくださいね。