本展ではHARIBAN AWARD2019で最優秀賞を受賞したマーガレット・ランシンクによる作品「無の境界線 ー快方に向かって(E=Border of Nothingness -On the Mend)」を紹介いたします。コロタイプで刷られたコラージュ写真は、ランシンクが日本で見て学んだ金継ぎに習った手法で仕上げられます。京都市指定有形文化財に指定されている野口家住宅花洛庵をお借りし、ランシンクが家族との関わりの中で生み出した作品の融合をお楽しみください。
〈収録作品〉
1.妻のいる砂丘風景(Ⅲ)/ MY WIFE IN THE DUNES (Ⅲ) 1950頃
2.パパとママとコドモたち/ PAPA, MAMA AND THE CHILDREN 1949
3.パパとママとコドモたち / PAPA, MAMA AND THE CHILDREN (Ⅰ) 1949
4.ボクのわたしのお母さん/ MAMMY, MY DEAR 1950
5.パパとトッチン/ PAPA AND TOCHIN 1949
6.へのへのもへの/ DOODLE FACE 1949
7.少女四態/ FOUR GIRLS, FOUR POSITIONS 1939
8.妹のお守り/ CARING FOR LITTLE SISTER 1959-70
9.紙芝居屋が行く/ THE PICTURE STORYTELLER DEPARTS 1959-70
10.小さな工場/ SMALL FACTORY 1959-70
物理的あるいは不可視の傷跡がヤマウチタカモトのFrom Duskには通底している。モノクロ写真のシリーズからなるこれらの作品は、癒えることのない傷を明らかにしつつ、私たちが脆くはかない存在であることを実感させる。被写体の奥深くに埋もれた複雑な感情の層を解きほぐしつつ、ヤマウチの写真は精神的あるいは物理的な困難を背負った人々に対しての想いを巡らせている。ヤマウチはBarat College Chicago、School of Art Institute of ChicagoおよびICPで写真を学ぶ。国内外問わず精力的に活動し、これまでに「FROM DUSK」(T.I.P Book、 2015年)と「Till Dawn」(Case Publishing、2016年)の2冊の写真集を出版している。