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コロタイプポートフォリオ:植田正治《童暦》

2010.01.27

童暦
童暦

このたび、工房設立100年余の歴史をもつ京都・便利堂のコロタイプ工房では、東京都写真美術館および著作権者である植田正治事務所の監修の下、多くの植 田正治作品の中から最も代表的な作品群であるシリーズ《童暦》の中から12点を厳選し、コロタイプ・プリントによる限定のオリジナル・エディションを刊行 します。
ピグメント(顔料)を用いて写真作品が持つスピリットを最大限に引き出した今回のポートフォリオは、今やそのオリジナルプリントが入手困難とされている植 田正治没後最初の新作プリントとして、また植田正治の新たな一面としてご紹介するものです。
深いシャードーからハイライトにかけての滑らかな階調、不思議な暖かみ、顔料を使うため可能となる自在な色表現など、コロタイプしか持ちえない独特な美し さで表現されたハンドメイド・プリントは、今後の写真表現の一役を担う新たな作品プロセスとしてご覧いただけることでしょう。
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コロタイプ技術の保存と印刷文化を考える会

2010.01.27

アナログが持つ独特の人間らしさ、便利堂がこだわり続けてきたコロタイプは、デジタルには無い何かを持っていると信じています。

コロタイプ印刷機
コロタイプ印刷機

しかし一方では、フィルムやゼラチン、インキや和紙などアナログ資材の今後に確かな姿を見いだす努力も必要とも考えています。
残念ながらこのコロタイプという技術を持つ企業は世の中からほとんど姿を消しつつあります。
この技術もデジタルの波が日々押し寄せる中、近い将来、唯一、便利堂だけが有する技術になる可能性は否めません。
時代の流れに対応しながら、アナログとデジタルを融合させた新技術の向上発展に、どれだけの重要性が秘められているのか、この問題は印刷の文化やその歴史において極めて重要な意味を含んでいます。
同時に、アナログ資材の存続に対しても、社会的なメッセージを自ら発信する役割を担っているとも考えています。
文化財の保存、焼失文化財の再現や流出文化財の複製、未公開史料の展示といった場面に活躍してきたコロタイプ
現代に生きる我々は、後世に遺すべき文化財を如何にして守り、如何にして伝えて行くか—コロタイプを単なる印刷技術として捉えるのではなく、文化財との関わりの中で培われた意識を継続して保持し続けることが使命であると感じています。
文化財保護や保存の方法が全てコロタイプにあるとは考えてはいません。
しかし、文化財を次の世代に伝える技法としてコロタイプが持つ重要性を、私たち便利堂が自らの努力で社会にアピールすべき時代が到来していると考えています。
これまで内部プロジェクトとして検討を重ねてまいりましたが、ここに至りできるだけ多くの方々と話し合いの場を持ち、広範なネットワークづくりを推進する中で、コロタイプによる文化的貢献を果たすべく、
この度「コロタイプ技術の保存と印刷文化を考える会」を正式に発足させました。
この活動をとおして多くの方々にコロタイプを知っていただき、活用していただくことが、印刷文化の新たな展開につながるものと考えております。