【コラム】富小路店の暖簾
2014.08.04
普段何気なく目にする店舗の外観。京都の街中を歩いていると、暖簾をかけたお店も多く見ることができます。
実はこの暖簾、鎌倉から江戸の時代では、白地:お菓子屋、紺地:呉服・酒屋、柿色:水商売、茶色:薬屋・たばこ屋…といった具合に、その色を見るだけでどんな商売のお店なのかがわかるようになっていたそう。
ひと目で店の種類がわかるなんて、便利ですね。
さて京都便利堂富小路店では、季節ごとに暖簾をかけかえています。現在はこちら。
円山応挙 朝顔狗子図 紺と白という色合いはもちろん、麻製なのもあって、とても涼しげ。
この暖簾に描かれた犬の絵、なんと手書きなのです!
手で描いたとは思えない緻密さとクオリティには驚きです。
富小路店には全部で5点の暖簾があり、年間を通して大体2ヶ月に1回の頻度でかけかえています。応挙「朝顔狗子図」の暖簾と同じく、すべて1点もの。
春 対柳居画譜 紋白蝶 柴田是真 初夏 玄圃瑤華 未草図 芸艸堂蔵
盛夏 朝顔狗子図 円山応挙 秋 鳥獣人物戯画 高山寺蔵
冬 お多福図 清荒神清澄寺蔵
暖簾の製作は、便利堂本社とほど近い場所にある、印染工房土山さん。
便利堂より更に古くに創業し、今年で144年となる老舗です。ここでは京都伝統の手染め技術の一つ、「印染(しるしぞめ)」を用いています。
印染とは、平安時代に貴族が用いた家紋や、戦の際に敵味方を識別するための印を旗や幟(のぼり)に染めてはじまったもので、旗、のぼり、幕、浴衣、袢天、のれん、帆前掛、手ぬぐいなどがその代表的な染物です。
土山さんによると、この暖簾の制作で難しかったのは絵の部分ではなく、グラデーション。
春のれんのグラデーション
横の列に、綺麗に均一に色を乗せるというのが、実はものすごく大変なのだそうです。
土山さんのFacebookはこちらから
土山さんの苦労のおかげもあり、便利堂の暖簾は「優良意匠屋外広告物」として京都市より京都景観賞屋外広告物部門の優秀賞を受賞しています。
詳しくはこちらから
のれん5種すべてのモチーフは、便利堂の商品でも取り扱っています。季節の暖簾とともにお楽しみいただき、お気に入りが見つかれば是非お買い求めください。
ご購入・お問い合わせは下記店舗まで。
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