琳派400周年「生き続ける琳派」
2014.10.31
2015年は日本美術史にとって特別な年です。何にあたる年なのか、みなさんはご存じでしょうか。
美術史の中ではかなり大きな存在感を放つ”あるもの”ですので、すぐに答えられる美術好きの方も多いのでは?
そうです、来年は、琳派が誕生してからちょうど400周年にあたるのです。
日本人なら誰でも一度は目にしたことのある『風神雷神図屏風』は琳派の象徴的作品としても知られていますね。
縮小屏風〈国宝 風神雷神図屏風〉宗達筆(大)14,000円(税別)
「そもそも琳派って何?」という方は、こんなに美しい作品群を知らないでいるのはもったいないですよ。
(そういう筆者も入社するまで恥ずかしながら「琳派ってどう読むの?」というレベルでしたが。)
そこでここでは、琳派入門をご案内したいと思います。
琳派(りんぱ)とは、「尾形光琳(おがたこうりん)」の「琳」からとった、絵画の流派のことです。俵屋宗達(たわらやそうたつ)から始まり、光琳の手によって発展・浸透していったことが言葉の元となっています。後代には江戸琳派といわれる酒井抱一(さかいほういつ)をはじめとした名手たちが受け継ぎました。宗達の死から約100年後、光琳が自らの研究によって独自に宗達の画法を修得していったように、「私淑(ししゅく)」といわれる独特の継承方法をとっていることが特徴です。そのため、始祖の宗達の時代から末代にいたるまで、約300年の長きに及んで引き継がれてきたことはまた特筆すべき点です。琳派が400年という時を超えてもなお生き続けているのは、約100年ごとに私淑し画道をつき進んだ宗達・光琳・抱一をはじめとする琳派の作家の奮闘があってこそです。
琳派について、さらに詳しくはこちらから
知名度に比することなく俵屋宗達のその生涯や画業に関するほとんどは謎に包まれていますが、唯一 『西行物語絵巻(出光美術館蔵)とでこちらの屏風の描かれた年代だけがわかるのみで、それ以外の作品の制作年は不明とされています。まさに、謎に包まれた作家です。
縮小屏風 〈国宝 源氏物語図屏風〉宗達筆 7,800円(税別) 1631年
とはいえ、交友関係ではハッキリしているものがあります。
それは、本阿弥光悦(ほんあみこうえつ)の下絵を描いていたということです。
光悦は刀剣の研磨や鑑定を家業とする家に生まれ、蒔絵、陶芸、書などの多くの才能に恵まれた芸術家でもありました。宗達はこの光悦の描く書をよりいっそう引き立てる素晴らしい下絵を描き、『鶴下絵三十六歌仙和歌巻(下図)』『四季草花下絵古今和歌巻』など多くの美しいコラボ作品を残しました。
色紙 〈重文 鶴図下絵和歌巻(伊勢)〉書:光悦筆 画:宗達筆 1,800円(税別)
ちなみに、便利堂では宗達の作品をテーマとした2015年カレンダーを制作中。コロタイプによる職人の手刷りカレンダーです。
ショップのプレミアムカード会員様限定で、店頭で3,000円以上お買い求めいただいた方には抽選で、10,000円以上お買い求めいただいた方にはもれなくプレゼントいたします。
さらに、京都国立博物館ショップでも同様のキャンペーンを実施予定。詳細は後日改めてご連絡いたします。
そんな宗達に私淑して自らの画道を発展させたのが尾形光琳です。10代のころから能が好きだった関係で醍醐寺三宝院の門跡・高賢のもとに出入りしており、そこに俵屋宗達の作品があったことが2人の縁を繋いだようです。
京都の高級呉服商の家に生まれた光琳は両親の遺産を受け継いだ後しばらく豪遊生活をしますが、やがて使い果たしてしまいます。そんな中で志したのが画業でした。
金箔風クリアファイル 〈国宝 紅白梅図屏風〉 光琳筆 500円(税別)
紅梅と白梅の対比が美しい作品。背景の全面に金箔が張られ、水流は銀箔になっている。
光琳はやがて宗達の風神雷神図屏風を模した、自らの風神雷神図屏風を完成させます。
クリアファイル<尾形光琳 重文 風神雷神図屏風> 300円(税別)
そんな風神雷神図屏風は、光琳の没後さらに酒井抱一の手によって受け継がれます。
光琳への思いから、彼は光琳の描いた風神雷神図屏風の裏面に自らの作品『夏秋草図屏風』を遺しています。
屏風 〈重文 夏秋草図屏風〉抱一筆 5,000円(税別)
二つの作品の重なりをみると、なんと『夏秋草図屏風』はオモテ面に描かれた風神雷神の降らす雨や雷にリンクさせた絵になっているというから驚きです。
『風神雷神図屏風』『夏秋草図屏風』の関係について詳しくはこちら
ちなみに、便利堂ではこの『夏秋草図屏風』を原寸大で複製することに成功しています。
原寸大複製屏風〈重文 夏秋草図屏風〉抱一筆 1,400,000円(税別) タテ165.0×ヨコ182.0cm 50%縮小版もございます。
普段はなかなか日の目をみるチャンスがありませんが、今回は11月5日からの1週間、東京日本橋三越にて開催する「Kyoto Week」にて展示を行いますので、お越しの際は是非見にいらしてくださいね。
2015年には琳派の作品をモチーフとした新商品を発売する予定です。詳細が決まり次第告知させていただきますので、どうぞお楽しみに。
また便利堂では、現在東京国立博物館で所蔵している尾形光琳の風神雷神図屏風の複製プロジェクトも実施いたします。表面・裏面ともに実物さながらの出来栄えのものを現代によみがえらせ、文化の発達に貢献しよう、というものです。大人一人分の身長ほどもある大きな風神雷神図屏風を一から作成する、夢のあるプロジェクトです。
詳細はまた後日ご報告します。ぜひ続報をお待ちください。
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