明治期の絵はがき
2014.11.28
日頃お世話になっている方々へ新年の寿ぎと感謝を伝える年賀状のやりとり。日本郵政によると年賀状の流通量は毎年減少傾向にあるらしく、「そういえば最近書いていないなぁ」とか「書く量が減ったなぁ」という方も多くなってきていることでしょう。
みなさんは、そもそも「郵便はがき」が利用されるようになったのはいつ頃からだと思いますか?
それは1869年9月22日、今から約150年前のことで、ドイツのウィーンではがきに関する規制が設けられた時だそう。
日本に絵はがきが公式に登場したのは、1900年(明治33年)、19世紀最後の年です。
絵はがきブームはそれから程なくして始まりました。
復刻絵はがきセット 〈舞姿〉 500円(税別) ※1905年(明治38年)便利堂発行の復刻版
明治期の便利堂では、当時の名だたる4人(竹内栖鳳・今尾景年・鈴木松年・山元春挙)の日本画家が描きおろした絵はがきを作っています。
1903年(明治36年)には東京市内の絵はがき取扱い数が550万を達し、当時の東京の総人口225万(※内閣統計局の推計)の約2倍の数にも及んでいたようです。またその2年後の明治38年には約3倍の1455万枚にも及び、日露戦争の戦勝ムードのなか絵はがきブームも最高潮を迎えます。電話機や電報が広く普及する以前のことですので、通信手段としてさぞ重宝され、その1枚1枚にぎゅっと内容が詰まっていたのだろうと想像できますね。
現在通信手段として広く利用されている電話やメールは音声や文字だけのメッセージ。紙面のレイアウトやデザインといった要素が大きく入るのは絵はがきのみです。当時の人達は、最先端の通信手段の表現を目一杯楽しみ、その結果として多種の個性豊かな絵はがきが作られたのでしょう。
明治期のブームに乗り趣向を凝らした絵はがきがこぞって制作されましたが、扱われたモチーフから当時の流行や生活を読み取れることも絵はがきの面白さです。
復刻絵はがきセット「ベースボール」1,142円(税別) ※1905年(明治38年)便利堂発行の復刻版
明治期に入ると、それまでの日本人が知らなかった「運動する楽しみ、喜び」、すなわち「スポーツ」という従来の武道とは違った新しい概念が輸入されました。なかでも野球は人気が高く、数多くの絵はがきが作られたようです。
また、日本を代表する観光地や京都の名所風景の絵はがきも多く制作され、そこからも当時の文化をうかがい知ることができます。
「京名所百景」復刻絵はがきセット 1,142円(税別) ※1905年(明治38年)便利堂発行の復刻版
富小路店限定商品 〈地図〉
「京名所百景」より《京都帝室博物館(現京都国立博物館)》復刻絵はがき 300円(税別) ※1905年(明治38年)便利堂発行の復刻版
京都国立博物館ミュージアムショップ限定商品
「京名所百景」より《知恩院三門》復刻絵はがき 300円(税別) ※1905年(明治38年)便利堂発行の復刻版
知恩院和順会館ショップ「沙羅の木」限定商品
「京名所百景」についてさらに詳しくはこちらから
すべて紹介しきれないのが残念ですが、明治期の絵はがきにはほかにも「美人はがき」「文学はがき」と呼ばれる大変興味深いものもありました。
(左図)「浪さん」 上村松園 1904(明治37)~1905(明治38)年 (右図)「夏子」 1905年(明治38年) いずれも便利堂発行の絵はがき
便利堂が明治期に制作した数々のユニークな絵はがきについて、詳しくはこちら
書籍 〈明治の京都 てのひら逍遥〉 1,200円(税別) ※送料無料
また、こちらではレトロな絵はがきの雰囲気が楽しめます。
コロタイプ絵はがき〈季趣五題 ふゆこもり〉 コロタイプ絵はがき〈季趣五題 ふゆしずか わが世の春〉 竹久夢二 各200円(税別)
宛名面(一番右の画像)に注目してください!この「季趣五題(きしゅごだい)」シリーズでは「郵便はがき」の文字を右側から読んでいた明治期のデザインを採用しています。
サイズもその頃用いられていたものに似せて、現在の官製はがきよりひとまわり小さく、かわいらしいですよ。
その他の季趣五題はがきはこちらから
明治期の絵はがきブームはどこへやら、現在では絵はがきを日常的にやりとりする人も少なくなりました。電子メールやインターネットも便利ですが、たまには手書きの絵はがきを書いてみるのもなかなか味なものですよ。
便利堂では年賀はがきを好評販売中です。
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